2017年01月22日

フロントサスについて、最近思うこと。(2)

 若い時分に、伝説的ライダーのフレディ・スペンサーとWGPを転戦する機会を与えられたことがあります。この時は、キャブレター開発が目的だったので、各ライダー(フレディ スペンサー、マルコ ルッキネリ、片山敬済)(スポットでロン ハスラムのNRやNS500も)のアクセル操作の違いを、コーナー入り口で観察することが多かった。 
 
 アッセンの第一コーナー入り口に居た時の事。この時の印象が衝撃的で、お客様に「フレディってどんなライダー?」と聞かれた時には、「コーナー入り口のブレーキング時にアクセル戻さないんだぞ!」と、説明するのが常でしたが、BURRITO開発後も同じ内容の事を言うのですが、もう一つ「やっぱりあいつは天才だった!」と付け加えています。キャブ開発の時代は、次の加速体制に移るためのアクセル操作だと、単純に思っていましたが・・其処には深い意味があったのだと、今頃気づきました。(笑) 

 80年代初頭にも、最先端技術を携えててWGPに参加していたと思うのだが、今思うと、エンジンも、フレームもタイヤもサスペンションも変革期にあったと思います。(私がバイクに携わっておよそ半年未満と経験も浅く、スペンサー、マモラ、アゴスチーニの顔も名前さえも知らなかった・・ことも有りますが。)表題のフロントサスペンションについては、やっと減衰調整なるものが取り入れられ始めたころでも有り、代表的なものが「アンチノーズダイブ」スズキの車両「刀」にも採用されていました。今までのカートリッジイミレーターに代表される部品も、ブレーキング時の急激なフロントの沈み込みを抑える機能に限定されていたと思います。最近お目にかからなくなった機構では、リヤのパラレルリンクなどもありました。
 まさかと思われるかもしれませんがGPマシンといえども、当時のサスペンションは調整機構が無かったので、「ライダーがブレーキ操作でフロントサスの動きを制御していた」のだと言う事になります。フレディの場合は、この一連の操作が他よりも勝っていたと言う事だと思います。

 国内のライダーたちからも「コーナーリング時のブレーキリリースタイミング」と言う言葉をよく耳にしました。即ち「ブレーキを引きずる」行為がそれになります。が・・
フレディ以外のライダーは、ブレーキを引きずるだけで、本気で掛けていなかったのでは?と思います。
その証拠に、ブレーキレバーから指を離すタイミングがかなり早い様に見えました。一般のオートバイ乗りの場合は、F・ブレーキを掛けたままコーナーリングすることはないと思いますが、ブレーキを引きずったままでは旋回スピードが落ちてしまい、切込みが発生して逆に不安定になるので、倒すと同時ぐらいにはブレーキレバーから指を離す人が圧倒的に多いと思います。

ここで本題に戻りますが、「なぜアクセルを戻さなかったのか!。」
コーナースピードを殺さずに早く走りたい!。ブレーキングで沈み込んだフロントサスが、ブレーキリリースで一気に戻ろうとする動作を抑えたい。それにはブレーキを掛けて続けて 伸びないようにする必要があるわけですが・・・・、この事にフレディが出した答えが、「アクセルを戻さないでブレーキを掛ける!」だったと思います。そうすることで、「必要以上にスピードを落とさず、フロントサスの伸びを抑えることが出来た」のだと、今になって思い返すことが出来ました。さらに、ブレーキを開放する動作だけで、そのまま加速体制にも入れることも、大きなメリットだったと思います。これを、36年以上も前にやっていたフレディは、やっぱり天才!だったと、今にして思うのでした。
※:本人に直接聞いたわけではありませんので、私の記憶から推測して出した考察がこの答えでした。
posted by 仙人 at 12:14| BURRITO