2015年10月26日

DUCATI PANIGALE SにNAGバルブを付けてみた。

最近の欧州車 DUCATI/BMWがスロットル電子制御になり、エンジンブレーキの掛かり方を3段階ぐらいに調整できるようになってから、NAGバルブの装着要望が少なくなっているのを、気にしていましたが・・・。
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こんな事になっていたんですね〜。

そもそも、この制御方式は30年ほど前に排ガス規制が厳しくなった頃、4輪でアクセルを戻した時に、キャブの開度がアイドル開度に戻るまでに、機械式リターダー装置(ダッシュポット)を用いて、「ゆっくり閉じる」をしていた奴の、電子制御版?。
 以前から、「エンブレはスリッパークラッチとの併用等で弱くなったが、開け始めのドン付きが酷い」と、耳にしておりましたが・・。

ま、「それで満足するようになったのかな〜・・」。「でも、エンジンの特性改善は出来ないよな〜…」と思っていたら、「油にじみが酷い/ドン付きになる/乗りにくい」というオーナーさんが現れました。
 
 早速、覗いてみましたが、日本仕様はエンジンに化粧カバーが装着されているので、外さないと見えません。
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あれぇ〜??、カバーをはぐっても・・いつもの処にブローバイのタワーが見当たりません・・・。
早速デーラーに電話して聞いてみると、「ヘッドカバーの中にバルブが内蔵されています」との答え。

オーナーさんと相談して、折角来たのだから、調べましょうと言うことになり、燃料タンクを外して見ました。タンクの底がそのままエアーボックスの蓋になっています
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みると、ブリーザーは、リヤバンク・ヘッドカバーから、ボックス内に入り、前後シリンダーのVバンクの間に、ベークライト製?の箱が用意されていて、此処にブローバイガスの吹き出し口がありました。
BOX内ブローバイ.jpg
ひょっとすると?、この箱にバルブ内蔵?の可能性もあるので、ブローバイパイプを外して、吹いてみた!。
あらら、何の抵抗もないと言うことは、キャッチタンクを兼ねた箱の役目しか有りません。

で、エンジン側は?、此方も同じく。
ちゃんと確認するために、ヘッドカバーをはぐってみました。(シートレールも後方にずらさないと、サイド装飾カバーが外れないのよね〜・・)
????
矢張りヘッドにも、バルブらしい物は見えません。
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あるのは、カム端面に装着された・・風車?。
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多分これをバルブと勘違いしているのかも知れませんが、本当の役目はミストセパレーターの様ですよ。通常は、迷路を蓋した部屋でその役目を果たすのですが、仕切りの向こうに穴が空いているだけなので、この羽にミストを当てて遠心力で吹き飛ばしているだけでした。

 ここまで解ったので、早速元に戻して、
本来の業務!NAGバルブ取り付けに掛かります。(なげ〜よ 笑)

通常は、右中間カウルを外し、CPUや配線を納める@カバー、CPUを止めるネジ1本と、白く見えるネジ3本で外れます。
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そして、タンクを外せば作業は出来ます。タンクの燃料も、ワンタッチカプラーで接続されていますので、簡単!燃料もこぼれません。

先ずブローバイホースのヘッド側を外します。(シールのOリングがしっかり効いているので、簡単に外れませんが、左右に回しながら、引き抜きます。面倒でも外しておかないと、装着作業に支障が出ます。)
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外れたら、エアーボックスを貫通してホースが通っていますので、抜け止めの一回り太い処、根元いっぱいで切断。残りのL型の方は、バルブの厚み分(15o)を切っておきます。
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バルブは、黒い方を直接ボックスに突っ込み、反対側に残ったL字型のホースを取り付け、ロックタイで縛り、ヘッドに戻します。

 負圧ホースは、右@カバーの奥の、リヤバンク吸気管根元に6角のブラインドプラグがありますので、これを付属のジョイントに交換。負圧パイプを繋いで、元通りに戻せば、終了。
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 試走して頂きましたが、バルブ装着時の機能はしっかり発揮できているようです。
短い距離の走行でしたが、「1速走行時のギクシャク感が消え、エンブレもマイルドになり、乗りやすくなった」そうです。

オーナーさん、この特性に見合う、足まわりのセットアップも進めて、益々バイクを愛おしんで下さい。

DUCATIさん、エンブレを電子制御するようになったので、シンボルになっていたタワーを時代遅れと考えてしまったのかな?。RAMの影響とかも考えなかったのでしょうかねぇ?。