早速反響がありましたので、返信内容に付け加えて、強制減圧バルブの功罪について、少し書き留めたいと思います。
本題に入る前に、減圧について弊社のスタンスを申し述べておくと、「弊社では、減圧が効き過ぎるのを”良し”としておりません」と言うことになる。
故 阿部孝夫選手の担当になったときに、最初に言われた言葉に、「あのなー、バイクは 開けたら開けただけ走って、閉じたら閉じた分減速せにゃならんでー」この言葉は、今でも忠実に守っております。
すなわち、”ライダーの感性から外すな!”言うことだと受け止めています。
強制減圧の販売開始していながら、何を?と思われるかも知れませんが、バランスを崩したバイクは凶器そのものと考えます。
すでに、NAGバルブを装着されているユーザー様にはお解りと思いますが、エンブレが緩和されると、アクセル操作によるフロントの沈み込み現象がおきにくくなるのを体感しているはずですが、減圧の強弱がサスペンションの動きやブレーキの制動力にも大きな影響を与えることがわかります。
本題:
表題の(功)の部分は後で書きますが、項目の少ない(罪)の部分を取り上げてみると、大きくは以下の2点。
)ブレーキへの負担が増す。
)オーソドックスな調整機構のないサスペンションでは、追従を求めにくい。
言い換えると、2サイクルと同じような車体セッティングを求められます。すなわち、高性能なバルブ程、オイル粘度変更、バネレート変更、果てはリヤプロリンクアーム比の変更などを求められる場合も有る。
(現にレース用では、リヤ・アーム1やアームリレーを変更する)
先ず、強制減圧バルブの簡単なスペックを紹介すると、
通常のNAGバルブと強制減圧側のバルブの両方を内蔵しています。
加速時の弁は3000rpm前後で自動で切り替わりますが、強制減圧は回転上昇に伴って能力が高くなっていきますので、切り替わり点は体感することが難しいぐらいに、スムーズに移行します。
減速時は、純正※AISバルブを併用することによって、スロットルを閉じるときの電圧信号又は負圧で、強制減圧側通路がカットされますので、通常のNAGバルブと同じ作動に戻ります。
したがって、3000rpm以下の特性は通常レースタイプと同じになります。(IAバルブが、この切り替え役目もしています。)
※エアーインダクションシステム(以下AISバルブ)
注:コンマ1秒を争うレース用は、ブレーキ類も最高性能の物を用いていますので、AISバルブを用いないことが多いが、市販車に適応すると危険ですので、必ずAISバルブを併用してください。(2001年以降の車輌の大半は既に装着されています。)
そもそも、レース用とストリート用では、使用しているエンジン回転領域が違うのは改めて言うまでもないが、量産車に適した仕様では、振動軽減、燃費向上、機動性向上など、多くのメリットも生むのである。特に、機動性向上は(加速性能)余裕を持ったライディングには、不可欠である。
すでに弊社車輌に先行テストで装着されており、良好な結果を得ております。燃費も向上しているようです。(通常峠で20km/Lが29〜32ほどになりました。)
続く。
2010年11月06日
強制減圧バルブの功罪(考察1)
posted by 仙人 at 18:34
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| クランクケース内圧コントロールバルブ
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