2010年11月25日

強制減圧バルブの功罪(4)

1, エンジン形式に因る圧力変化。
功罪と直接は関係ないが、エンジンの形式によっても内圧が上がりやすい物とそうでない物が存在する。
バイクの一般的レイアウトであるトランスミッション一体型エンジンに対し、4輪車や船舶、飛行機などエンジンとトランスミッションが別体式の物、スクーターもこの中に含まれるが、後者は前者に比して圧力が上がりやすい傾向にある。
その要因となるのが、バイクではエンジンケースと一体のミッションを含む容積であり、他方はケース内容積になる。

 自分でオイル交換をした場合に、少し残ったオイルがもったいなく、「どうせ減るから・・・」と余分に入れてしまったことはないだろうか。
そうすると、交換前に良く回るエンジンが、「交換後に回りにくくなった・・」という経験を大半のライダーが経験しているはず。w
仮に、正規油面でも減っていたオイルが増えるだけで、同じ症状を示すのである。

この事例でも判るように、たった数百ccの体積分が増減しただけで、エンジンの回転に影響を受けたことが判る。

これを他の表現方法で考えた場合(内圧と排気量の関係は分数)に当てはめると判りやすい。
 クランクケース側を(分母)シリンダー排気量を(分子)と考えると、バイクエンジンは、ミッションケース上部空間にも空気層が有るために、分母が大きい。対して後者の、スクーターなどに見られるように、クランクウエートとオイル溜まりを納める最低限の部屋では、同じ排気量で考えた場合には分母が小さく、明らかに後者が不利なのが判る。

同じく、排気量が増えると同じ現象を示す。ボアアップをした場合に、ベースエンジンではストレス無く軽く回るのに対し、ボーリング後はトルクは増えるが高回転では回りにくくなる。
すなわち、分子が大きい程ケース内圧は高い傾向を示す。


一般的に、チューニングエンジンや排気量アップされたエンジンは、気持ち良くスパッと回転上昇し、ストンと回転が下がるわけだが、この症状こそが内圧の影響を物語っているのである。この早く落ちる特性が、ギヤチェンジを合わせにくくするのである。