2013年04月19日

刃物台(タレットの芯ズレ)修理。

本来、時系列で書きたかったのですが、とりあえず一番解決しなければならないトラブルから、書きます。

2012/10月初旬、私の不注意でタレットと背面加工チャック生爪を衝突させてしまいました。
すぐに、修理依頼を出したのですが、対応までに時間が掛かっていましたので、テクニカルサポートに電話しながら、芯出しに挑みました。幸いズレは支障のないレベルの処まで戻り、工具取り付け台の芯出しを行いますが・・・・?なかなか上手く合いません。再度電話して、読みの数値を入れるのか、それとも数値の半分(すなわち半径値)なのか、確認しましたら、読みの数値と言うことで、再トライしているうちに、バリアーの中に入り込み、フリーズ状態となりました。
※:芯出しは、日立精機の機械でも、自分でやってますので、3時間も掛からずに中心はほぼゼロになります。

その時の修理がこれ、作業員に聞いたところ、矢張り半径入力と判明しました。『テクニカルの連中も、解ってない人が多いんです』と作業者の弁。(10月19日)
バリアー侵入フリーズ.pdf
その後、11月1日に見積書が提出されました。
見積書.pdf

ここからが問題で、一応修理が済んだと言うことで受理するのですが・・・次の日には芯ズレが起きていて、使い物になりません。

次の資料は、2012年11月27/11月29/11月30/2013年2月2/3月8日に同じ作業をしております。
芯出し作業.pdf

この作業しに記録されている、パラメーターを表にしたのがこれ。日を追う毎にパラメーターに移動量が加算されていくのが解ります
パラメーター推移.pdf

その間も、3月28日〜30日もつきっきりで、測定した結果と、作業時間ですが・・二人一組で作業しているのに、なぜ時系列じゃないのでしょうか。私が『作業報告書を提出しないで、作業終了とは言えないでしょう。』と言ったので、慌てて作ったとしか思えません。芯出し’12/11〜13/3/30.pdf

このデーターの値が信じられる物かどうかは、疑問ですが・・。4月1に持ってきた時には、最大で10ミクロンを超えていないので、問題ないと、十字に引いた左上の数値をさして言いました。(クロスした中心がゼロだと思います)

17日に来た両名 美濃加茂第2CS課次長横山氏、サービス統括課課長兼主幹同じく横山氏の両名もこのデーターを差し出し、最大でも規定値を超えていないと、説明されました。
私が、『どんな条件で測定したのか、生データー数値もないグラフは信用出来ない。』と言った後、2時間近く本社とやり取りした結果、解った事は。

十字の右下、3月28日 10:30〜13:00迄が、通常稼働状態で熱変位補正が入った状態だそうです。(なぜ、クロス中心点がゼロじゃないのか解りません。)

翌々日30日に測定した結果が、十字上の右から左に移動するデーターになりますが・・後で、条件が違うことが判明します。

サーボモーターは、非常停止した場合に、移動する部分が勝手に動いて衝突するのを防ぐ為に、自動的にブレーキが掛かる機構になって居るそうですが、両氏は『サーボを切ってあるので動いて当然』との見解です。明らかに矛盾があります。

作業者は、『動かないはずなので、今日一日測定させてください』と、始めた訳ですから、本来動くのはNGですね。

もう一つ解るのは、28日からあいだ2日置いた30日、電源オンにしたときのスタート位置が既に違っているという事実です。当然、パラメーターは、固定で移動していません。

問題は、先にも書いたとおり、
1、熱変位であれば、ゼロ点は元に戻るはず。毎日変わるのであれば、機械の信頼性はゼロです。
1、依頼した修理内容と違う作業をして、現在まで長引かせた責任は、誰にあるのか。

これを問いたいと思います。

(作業の測定生データーは、又後で掲載します。)

更に、11月22日の作業報告書左下には、
手書きで、『A項に関して、 プログラム70 2008年8月26日にて、同様に補正された形跡有り、(納入前のテストワークプログラム)状況より、納入当初から、ずれていたと思われます。 名古屋サービス(署名)とあります。

使っていて、長さが違うなーと、補正入れておりましたが・・・機械の原点が納入前のテストカット時から、間違って居たそうです。
内容は、<状況> A外径方向からのVミル加工位置がZ方向(左右)に0.5oずれている。

これでも信頼しろという方が無理と思いますが・・。


追記:タレット中心の求め方は、次に様になります。
KMBT_C20020130421191259.pdf

次に、あまりにも時間が掛かるし、『測定値は出荷の許容値の範囲』と言うので、メモを見せて頂きましたが、順に横並びにしてあるので、良く解りませんでしたので、私が日立精機用に使っている用紙を手渡し、記入して貰いました。が・・・・???なぜか、XYが片方しか記入されていません。
それがこれ。
’13−3−21 @.pdf
どうも、上下左右の数値(例:前後方向の値が仮に (X側マイナス10,X側プラス27)÷2=8.5 と言うように、平均値を求めているらしいので、当たり前の話ですが、中心を求めれば、前後、上下共にゼロになります。
仮に、(Y)上下方向が違っていても、(X)前後方向の中心が出ていれば、(X)の値は、前後共に同じ数値になります。

製品は、読みの数値(半径)になりますので、そのまま書くように指示しましたが・・・。
相変わらずです。仮に記入していないところがゼロとしても、(X)前後方向が全てタレット中心に向いています。すなわち測定針が離れていますので、10〜12ミクロン作業者側に寄っているのが解ります。

これでも、出荷時の許容値に入って居るので、測定は完了と言うことでした。
’13−3−21 A.pdf

つぎは、同じデーターを『(X)軸が中心に向かって10〜12ミクロンの値があるのだから、10ミクロン減らせば(移動すれば)もっと、精度が出るはず』と、再測定して貰いました。

そのデーターがこれ。
’13−3−21 B.pdf

上半分は、先ほどと同じデーター。下半分は、前後方向を移動したデーター。
これで、前後方向のズレは、最大でも2.5ミクロンになりました。
今まで、どれだけずさんな測定をしていたにか、解りましたか』というと、両名と神妙にしておりました。
が・・、この測定データーをよく見ると、時計回りにもズレていることが解ります。(上下の矢印が時計回り)実際には、刃先が下がって居ますので、中心の上に切る面がありますから、上手く切れないことになります。

☆10月19日の作業報告書で、修理項目として取り上げられているにも拘わらず、この日まで手抜きの修理を行っていたことになります。
☆『B刃物台芯高かの数値が許容値よりも大きくなっております。精度修正作業の見積もりを作成・提出させて頂きますので、修理のご検討をお願いします。』この見積書は、11月1日付けでFAXが届いています。

☆更に、下半分の4カ所に下線付きの数値がありますが、翌日朝計った時の数値です。既に、大きくずれていることが解ります。

翌日は、回転方向のズレ修正をすることになりました。上下前後とも数値も入り、やっとまともなデーターになりましたが・・が、結果は・・・
’13−3−28 C.pdf
どこにも、基準になった数値が見あたりません。かろうじて#5が近いのですが、どれか1カ所でもゼロの部分が無ければ、正確に評価は出来ません。
なぜ、ゼロが一つもないのか聞いてみましたら、『12カ所測定して最初の位置に戻ると、その数値が変わっているので、ゼロは出せません』と言うことでした。

そこで初めて、このデーターを取ることになった訳ですが・・・
KMBT_C20020130421201358.pdf
どう考えても、どこかが締まっていなくて、動いているとしか思えない、正常にはほど遠いと思います。

更に疑問に思うのは、表題が『レベル調整後のHミル芯に対し主軸芯の変化』とありますが、可動部のタレットが動くのではなく、土台に固定されている主軸モーター側の芯が動いているという判断でしょうか。
実際に、作業者も、主軸チャックの下面にダイヤルゲージを設置し、『モーターが動いているので』と大まじめに測定していました。

作業者には、『材料も機械も時間も上げるから、そのデーターに絶対の自信があるなら、1日中製品を作ってみて下さい』と言いましたが、言い分は通らないようですね。

追記:
 2019/04/04現在でも、MAZAK側からは何も対応はありません。2013/10月この後工場移転に伴い、自分で再設置、調整を行ったのを機に、2014/5月になって、やっとリース会社が私の要望を聞き入れ、自分で修理作業する事を認めて頂きましたので、カップリングに対策を施しました。対策後は、制度を取り戻しましたが、芯高調整はリース終了後、買い取ってからになります。
 カップリング(連結部品)の設計不良で、稼働できなかった期間は約1年半。未稼働のリース料を払い続ける経済的ダメージは、一言では言い表せません。2019年度諸事情で新しい機械の導入が出来なかったために、泣く泣くMAZAK機を買い取りすることになりました。買い取り支払い終了は2020/2月。
 
 今年に入ってから、毎日のように5人から9人ほどの人が記事を読んで頂いて居るようなのですが、迷惑でなければ、拡散お願いします。関連記事
http://nagsed.sblo.jp/index-11.html(導入直後の切削で、長さが安定しない、出荷時検査にSUB軸検査項目が無い、出荷時見本切削時にチャックも給油で焼き付き)半年間放置されました。
http://nagsed.sblo.jp/archives/201304-1.html(芯ズレ、不具合箇所、追跡依頼。NAGでカップリングを疑ったため、メーカーに確認依頼しました。)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201305-1.html(MAZAK社長に直訴状)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201306-1.html(岐阜県知事にメールしました)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201307-1.html(切削油の腐敗)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201309-1.html(社屋移転のお知らせ)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201404-1.html(芯ズレ原因の特定調査)
http://nagsed.sblo.jp/article/93672704.html(芯ズレ原因判明 カップリング修理)
http://nagsed.sblo.jp/article/94025226.html(修理後の検証)
http://nagsed.sblo.jp/article/95937499.html(修理後、初切削、精度検証)
http://nagsed.sblo.jp/archives/201504-1.html(自社修理後、再稼働)
http://nagsed.sblo.jp/article/96720610.html(製品切削開始)
http://nagsed.sblo.jp/article/100097311.html(切削油腐敗対策)
http://nagsed.sblo.jp/article/103370667.html(切削油腐敗対策2)
http://nagsed.sblo.jp/article/109029854.html(ドアガラス修理依頼したが、直しに来ない)
http://nagsed.sblo.jp/article/113059189.html(モニター文字表示しなくなる)
http://nagsed.sblo.jp/article/119906565.html(モニター文字表示しなくなる2)
http://nagsed.sblo.jp/article/122274156.html(製品精度良好?)
http://nagsed.sblo.jp/article/122274156.html(回転工具破損。アンギュラーボールベアリングの逆組!!)
http://nagsed.sblo.jp/article/176168883.html(回転工具破損。2)
http://nagsed.sblo.jp/article/176885426.html(回転工具修理依頼したが・・そのまま返送されて・・)
http://nagsed.sblo.jp/article/177243371.html(回転工具、製品への影響)
http://nagsed.sblo.jp/article/178696597.html(切削油腐敗原因と対策)

よう持ちこたえたわ‥、自分を褒めたいです。 
追記:2021年/12月にMAZAK機のリースと買い取り支払いが済んだので、やっと自分で修理作業することが出来るようになりました。暮れも正月も返上で4日間掛けて芯出しに挑み、完了しました。
○作業内容は、タレットを取り付けているベースを時計回りに動かしたうえで、タレット盤が左右どちらにも調整できる位置で固定。これまでは、反時計回りにずれていたので、芯だし/借り止め時点でゼロ点を出しても、本締めでタレットが持ち上がっていました。 日を改めて、動画をアップします。
posted by 仙人 at 18:03| MAZAK