2014年04月07日

MAZAKその後・・・(2)

昨年10月に工場移転、未だに未片付けの部分も多々あるのですが、少しずつ落ち着いてきましたので、
不動状態で1年半過ごしたMAZAK MSY200の再起動を試みます。

MAZAKも移設禁止に伴うパスワードの再入力をしないと、再稼働が出来ない状態にあるため、先週再入力してもらいました。
(これは、無料だそうです)

 本来であれば、移動前にリース解約して置いてくる手はずになっておりましたが、せっかく付いた買い手もキャンセルになり、泣く泣く新社屋に持ってくることになりました。
 これまでも、社外の機械整&中古機械販売会社等にも、修理の問い合わせてきましたが、MAZAKの社名を言うだけで、あっさり断られていました。

前置きが長くなりましたが、今回再稼働するに当たって、やっとリース会社の修理許可が出ました。
(本来、リースアップするまでは、まだリース会社の資産なので、勝手にいじることは出来ません。)

 まず、X軸が勝手に動いてしまう状況から判断すると、「一番怪しいのは、モーターとボールねじを繋ぐカップリングと呼ばれる部分のスリップ」と、'12年10月の不具合発生時から、再三調べるようにMAZAKにも、言い続けてきましたが・・・「これが正常です。締め付けトルクはわかりません。ねじは緩んでいません」としか、返答していただけませんでしたが、前述の通り、自分のものではないので、手も足も出せない状況になっていました。

なぜ、カップリングを疑うかというと。
○ボールねじのエンドは、スラストベアリングでガタ取りしてある。
○モーターは、M12のキャップボルト4本で筐体に固定。
これだけ見ると、他に動く可能性がある場所は・・・カップリング

カップリング(写真はY軸)X軸は入り組んだ場所なので、説明のために代用。
DSC02625.JPG

添付写真のように、外径75ミリ/内径25ミリの鉄の筒に、中心まで18ミリ幅すり割りがあり、M8のキャップボルトで締め付けます。(断面で説明すると、筒の上部1/4の部分を左右からM8キャップボルト1本で締め付けることになりますが・・・その部分は25X18ミリ四角縦断面になります。

これが、断面図。
DSC02630.JPG

果たして、ねじは緩んでいなかったとして・・軸を締め付けるだけの力がカップリングに動くのか?大いに疑問でした。(経験上アルミ材でも無理です)
追記:

図面でお解りのように、
そもそも、モーター側は「太いシャフト」 ボールネジ側は「細いシャフト
これを同じ条件下で締め付けても、細いシャフト側は、外周肉が多いので、締め付け力が弱まります

整理すると、
整備屋が断る理由の一つに、「エンコーダーを外した場合、イニシャル設定のマニュアルがメーカーから出ない。」と言うことがありましたので、エンコーダー、すなわち駆動モーターも外せないことになります。

○事象からすれば、回転ずれが発生すると言うことは、「モーター固定ねじを緩めれば・・伸びる?」と言うことになります。この方法なら、エンコーダーが大きく狂うこともないので、パラメーターで修正可能となります。

エンコーダー
DSC02623−1.jpg
モーター取り付け部(ねじ)
検査のために緩めておいたY軸の止めねじ。隙間は出来ない。(X軸も同様に緩めてあるが、隙間が発生)
DSC02626.JPG

ねじを緩め、電源投入してから、2週間後・・・0.25ミリまで隙間が拡大した。
DSC02627.JPG
緩めた当初は、隙間は出来ていないが、駆動されるタレットは、約45度ほど傾いた状態で設置されるため、重さでずり落ちないように、モーターには(カップリングには)常に負荷が掛かっている。

斜めに設置されたタレット。
DSC02629.JPG

これで、確信がとれましたので、カップリングに穴開け/ねじ切りをして、芋ねじを(6角穴付き止めねじ)で、固定します。シャフトにくぼみが出来さえすれば、M5〜M6で止まるはずです。


追記:当ブログに、毎日二人以上の訪問者が「タレット調整 または、芯ずれ」のキーワードで検索して、ブログを読んでいるようですので、参考になれば幸いです。

私一人が悩んでいても、メーカーは聞く耳持ちませんので、同じ状態に心当たりがある方は、是非!メーカーに調査依頼を提出してください。

これからも、施術後の経過を載せて参りますので、よろしくお願いいたします。

追記:2018/10/15 現在も、自分で直しながら精度を保っておりますが、MAZAK側は修理要請に応えておりません。日本を代表する機械メーカーがこの様な事で良いのでしょうか。
posted by 仙人 at 16:06| MAZAK