2017年10月06日

各部品の寄与率を覚えよう(3)

前回(2)からの続き
では、SJが大きい場合には絞れば良いのだから、PSを閉めます。逆に小さい場合は、多くを流したいので緩めます。 はい!正解。これでは、SJの大きさは、何だって良いことになってしまいますよね。(なぜか・・カス虎の口調だ・・笑)
 これが、キャブを難しくしているとも言えます。では、スロー系って?、スロー以外では効かないイメージがあるとお思いでしょうが、けっして、消えて無くなるわけでは無いので、スロットル全開までスローから燃料が流れます。これが、ストレート径や段数の判断を大きく狂わせるる事になります。
・・・ここまでが (2)で説明しました。

アイドルが安定しているのに、走り始めるとボコ付く(SJが大きい)又は、スカッと空振り(SJが小さい)など、SJが合っていないと、次の段階に進めないのです。

では、この様な症状にならないためのセッティング方法がありますので、順を追って説明します。

(3) どの通路も、途中から塞がったり、開いたりする訳では無いので、スロットルバルブの高さが変わる(開度が大きくなる)に従って、負圧のピーク部分(負圧分布)はキャブメインノズル(上から覗いた中心)に移動していきます。このとき、吸入空気量は増えてもスロー系から吸い出される燃料は横ばいになり増えていかないので、増える吸気量に対してスローの割合が小さくなっていき、代わりにメインノズルから出る量が大きくなります。この対比が「開度に対する各部位の寄与率」となります。これは、ジェットニードルや加速ポンプにも、そのまま当てはまります。
 ですが!、「スローは全開まで出ている」とは言っても、スロットル開度1/4以上でSJの影響を感じさせないようなキャブの作りや、セッティングにする訳ですが・・・、極端に大きなSJを組み込んだ場合は、1/2開度を過ぎても影響を及ぼすので、キャブは益々難しくなります。

 一般的に、Slow系と言われる開度には、(SJ)スロージェット、(JN)ジェットニードルストレート径、調整機構の(AS)エアースクリュー、(PS)パイロットスクリュー、守備範囲が広い(1/2以上)加速ポンプ吐出量も有りますので、セッティングの要は、出来るだけ重複させないことが肝要となります。

 その手法の一つが、ASとPS開度を標準戻し数に固定して、SJをスクリューに合わせる。そうすれば、これ以降は、SJの大きさに迷わなくても良くなりますので、その他の重複している部分だけに集中して、セットアップを進めることが出来ます。

「これで、何があってもSJを疑って逆戻りなんかしないで済みます。」
ゆめゆめ、神を疑う出ないぞ!。
FCRの場合の基準PS戻し数=1.1/4  ASはキャブ全般で1.1/2と定められています。

ウサギ君も、トマト君も、解ったかな?。

続く

posted by 仙人 at 14:39| Slow系&低開度

2017年10月03日

各部品の寄与率を覚えよう(2)

久しぶりのキャブネタ。(笑
では、1ランク上級者向けに。

 最近頻繁に、表題のページが開かれるので、今回は続きを書いてみます。
前にも書いたことがあるかもしれないが、「メーカーは、メインジェットから決めるんだぜ!」のフレーズが一人歩きしているようですが、どんなエンジンでも、スロットル全閉にしないと全開は無いのである。(これは、最高馬力を求めて居る場合、いちいち低回度から合わせても時間が掛かるので、低回度は「エンジンが掛かれば良し」くらいの扱いしかされていないためです)

 すなわち、一番先に決めるのはスロージェット(SJ)。これが決まらないと、アイドル不調、徐開加速のエンスト、始動性悪化になります。
「FCRにしたら、始動性が悪いんだよね〜。」という車両をたくさん見てきましたが、単気筒キック車両の始動不良、特にホットリスタート(暖気後の再始動)が悪化しているのが多い。
 
 これを例に取ると、
原因は、アイドル開度の開きすぎで、スローポートに負圧が掛からない。
閉じているから、ポートに負圧が掛かるのであって、開度が開いていると、負圧はメインノズルに移動するからで、セルと違って連続する吸気が確保できないキック一発の吸気圧では、燃料が吸い出せないのである。もしこの症状を持って居るなら、一度アイドルスクリューを閉める側に戻してみてください。あっけなくエンジンが掛かります。

 では、具体的にどのようにしたら、これを解決できるのかをお教えしましょう。
キャブを詳しく知らなくても、エアースクリュー(AS)を回せば、アイドル時の回転が変化するのは知っていると思いますが、このASは制約なしに調整できるわけでは無く、調整代は1/2から3.1/2と決められています。
閉めすぎれば、SJのブリードに空気が供給されなくなり、霧化が出来なくなり、開けすぎるとスクリューを押さえているバネがきかなくなって、スクリューが脱落します。
ですから、標準戻し数になっていれば、濃く(閉める)も、薄く(緩める)も出来るので、この位置固定に出来るSJを選ぶことが先決になります。が・・・・・、CR以外のキャブ(FCRもTMR)その他のキャブも、インマニに近い下方にパイロットスクリュー(PS)と言う者が、もう一つありまして、これを理解していないと、これまで述べた症状の根治は難しくなります。

 不具合の多くは、「アイドル回転が安定しているから、スローは合っている」という、思い込みが問題なのである。

では、SJが大きい場合には絞れば良いのだから、PSを閉めます。逆に小さい場合は、多くを流したいので緩めます。 はい!正解。これでは、SJの大きさは、何だって良いことになってしまいますよね。(なぜか・・カス虎の口調だ・・笑)
 これが、キャブを難しくしているとも言えます。では、スロー系って?、スロー以外では効かないイメージがあるとお思いでしょうが、けっして、消えて無くなるわけでは無いので、スロットル全開までスローから燃料が流れます。これが、ストレート径や段数の判断を大きく狂わせるる事になります。

続く

ついでに、加速ポンプも、同じ領域で効くしね。
posted by 仙人 at 19:15| Slow系&低開度

2009年09月29日

Slow通路は迷路(U)

ちょっと逆戻りしますが、通路の第2弾。

先に書いた通り、Slow通路は燃料出口が2カ所有ることが解ったと思うが、これが曲者で(最近写真が掲載できなくなったので、イマジネーションを膨らませてください)

加筆:写真が掲載出来るようになりました。

CIMG4189.JPG続きを読む
posted by 仙人 at 13:11| Slow系&低開度

2009年09月11日

実践編(T)

ほぼ1ヶ月の夏休みの間、十分復習されたでしょうか。この間実践した方も、そうでない方も!。

いよいよ次は実技の話に!、続きを読む
posted by 仙人 at 09:27| Slow系&低開度

2009年08月18日

Slow 通路=迷路

先ずは、通路の形状を見るとこのような┣━╋━通路構成になっていて、
図左側通路にはP/Sが下から上に向かって取り付けられ、上はキャブボアに通じ、パイロットアウトレット(PO)と呼ばれる。


続きを読む
posted by 仙人 at 19:04| Slow系&低開度

2009年08月05日

Slow系つづき

Slow系つづき・・・を書く前に、異常なまでに長い梅雨の被害に遭われた方に、お見舞いを申し上げます。

市役所などの公共機関で募金を募っておりますので、是非協力してください。 m( _ _ )m
バイクで山間部を気持ちよく走れるのも、その地区住人の努力のおかげですから。


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posted by 仙人 at 18:55| Slow系&低開度

2009年07月29日

Slow系って?

FCRに限らず、A/S(エアースクリュー)とP/S(パイロットスクリュー)の両方を持っているキャブレターは少なくない。

きちんと把握していれば結構便利な機構であるが・・、P/Sの使い方を間違えると、SJの番数を見失うことにもなる。

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posted by 仙人 at 12:01| Slow系&低開度

2009年07月18日

各部品の寄与率を覚えよう(1)

これも濃い話になる?かな。

私の周りには、なぜか喜々としてキャブをいじりを楽しんでいる人が多い。
結果の善し悪しに関わらず、エンジン構成部品の中では少ない工具でも比較的さわりやすく、そして変化がわかりやすいことも相まって、成果を得たときの達成感は捨てがたい物が有り、男の子の機械いじり心を満足させるには十分なのである。
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posted by 仙人 at 20:14| Slow系&低開度